整形外科医の視点
診療所のIT化(3)
  データ保存に関する法的な問題      
菅原整形外科 菅原秀樹 

電子カルテやデジタルX線写真データの保存に関する法的な問題

現在のところ平成11年4月の厚生省の通知を参考にしていただく必要があります。これに関して、MEDISが解説を行っております。

http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/index.html

の中の「診療録等の電子媒体による保存に関する解説書」というPDFをご覧ください。

 要するに、三つの性(真正性、見読性、保存性)が確保できれば良いということです。しかし、現状では、この三つの性を確実に確保したシステムはありません。内部に悪人がいれば、何らかの方法でデータの改竄はできてしまいます。世間では、医師自身が悪さをする可能性が最もあると見ているようです。比較的確実なシステムは、毎日のデータのハッシュを外部の公的認証期間に送って管理してもらうことですが、このためのインフラを作ったり維持するためには莫大な費用が必要です。しかし、ほとんどの医師はデータを改竄したり、お金儲けをする事を考えているのではなく、良いシステムを使って患者さんと一緒に病気と闘うことを一番に考えています。より良い医療のために導入する電子カルテやデジタルX線なのですが、そのデータの改竄防止認証システムを作るための莫大な費用の結果、診療費用が大きくなるのは本末転倒ではないでしょうか。
 「人を見たら悪人と思え」という理念は、経済界等では常識かもしれませんが、医療の世界では相容れないものではないでしょうか。
 この辺りの社会的認識の変化が、医療自体の未来に大きく関わってくるのではないかと考えます。
 最後に、よくある質問の回答を独断で作成しましたが、現状ではデジタル保存には自己責任が問われる事をご理解ください。


デジタルデータ保存に関する良くある質問の回答

Q)これまで通り、フィルムで診断して患者さんに説明したいのだが、フィルムの保存場所が無いので、フィルムはその日のうちに捨てて、元のデジタルデータだけ保存してよいか?

A) X線写真をデジタル保存するには真正性、見読性、保存性の3つの要件が確保される事とされています。しかし、この三つの要件を厳密に確保したシステムというものは現実にはあり得ません。「自己責任」とはこの、厳密には、確保できない要件を自分の努力で補うことであります。フィルムを破棄すると、証拠として求められた時に、診断時と全く同じ条件のフィルムをプリントできることを自分で説明できることが必要になります。単にCR機やプリンターの説明を鵜呑みにしたのでは説明責任は果たせません。なぜなら、そこに人がかかわっているからで、そこに悪意が入り込んでいないということを証明する努力が必要になるからです。
 よって、
・フィルムで診断するならフィルムで残す。
・デジタルで診断するならデジタルで残す。

というのが、最も安全で安易な方法と考えられます。


診療所のIT化
(1)電子カルテ
(2)デジタルX線装置


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