整形外科医の視点
診療所のIT化(2)  デジタルX線装置      
菅原整形外科 菅原秀樹 
 診療所にあるデジタルX線装置は、CR(Computed Radiography)と呼ばれています。効率化のためには、フィルムの保管の場所や出し入れの手間を省く方法として、フィルムへのプリントを行わずに画面上で診断したいところです。CRの画像データをPC画面で見るのに汎用のPC用モニターを使った場合、その画質はそのままではフィルムに劣ります。しかし、画面上の診断では、その場での画像の濃度やコントラスト、拡大率を変えることができるため、これまで通常の骨関節用単純X線写真では得られなかった軟部組織の情報も、一回のX線照射で得られるようになりました。結果として、医師が得られる情報は、一枚のフィルムより多くなります。CRのデータをフィルムにプリントする事は、結果的に、データの一部を捨てて必要な部分だけ取り出していることに他なりません。このことは、これまでと同じ一回のX線照射で、より多くの情報が得られより良い医療のためになりますが、一方で、医師は一回のX線データをこれまでよりさらに注意深く観察する必要が生じて、さらに医師の責任が重くなることを意味しています。


★デジタルX線装置の構成
 診療所でつかわれるデジタルX線装置は、画像撮影部分(いわゆるCR本体)と画像表示部分(ビューワー)に大きく分かれますが、その他にフィルムプリンターやデータを保存するためのサーバーが必要な場合があります。CR本体部分では、IPプレートというX線を磁気記録できるプレートにX線を照射し、それをスキャンし、デジタルデータにします。このデジタルデータは一般にDICOM規格というフォーマットで記録されます。このDICOMデータを、診察机の上にあるビューワーに表示し、保存します。


★CR本体
 これは、西華産業以外は、全て大手メーカーです。数年前に比べると、価格はかなり下がっておりますが、それでも本体部分だけで400万円前後はするようです。開発から10年以上も経過しており、社会的にも医療費の圧縮を叫ばれる昨今、メーカー側には、さらなる企業努力による価格の低下を求めたいところです。

メーカー
 ・富士フィルム FCR
 ・コニカミノルタメディカル
 ・コダック
 ・西華産業


ビューワー
 ビューワーを選ぶ場合のポイントは、大きく2点あります。一つは、業者が要求するCR本体との接続設定料金であり、もう一つはデータが増えてきた時の対処方法です。

 接続設定料は、CR本体と同じメーカーのビューワーを導入する場合は、その料金を含めた設定になるでしょうが、他のビューワーを導入する場合は、価格交渉の際に接続設定料を含めた価格交渉が必要となります。すでに導入済みのCR本体に、後からCR本体と異なるメーカーのビューワーを接続しようとすると、膨大な接続設定料を要求される場合があります。

 またデータ増加にどう対処するかに関しては、CRの場合、四つ切りサイズのデータで約10-20MB(画像品質で異なる)ありますので、数ヶ月でハードディスクがいっぱいになります。現在のところ、外部記憶装置としてのDVD-RAMは速度の点で実用的ではありません。つまり、一人の患者さんの過去の写真を時系列で何枚も切り替えてみるためには、データはハードディスクに記録されている必要があります。この為、将来の何年分かのHDをあらかじめ用意しておくか、または、いっぱいになったら、その都度、HDを増設するかの選択を導入時に決定しておく必要があります。

 また何か起こったとき(機種の入れ替え、保険の監査など)にデータをそのままの形で外に出せるようなシステムでなければいけません。これは過去のレセコンで問題になったことと同じですが、患者データをレセコン会社やビューワー会社が管理しており、機種の入れ替えなどの時に膨大な手数料を取られる形の契約は、絶対にやめておいたほうがよいでしょう。
  現在、診療所で電子カルテがどれだけ使われているかという正確な数字はわかりません。医療系の雑誌でアンケートを行った結果などがありますが、アンケートの方法が各電子カルテメーカーで異なっている為、正確な数字とは言えないのが現状のようです。(参考資料をご覧ください

代表的ビューワー(価格が安い順に)

●FREEソフト
http://www.psychology.nottingham.ac.uk/staff/cr1/dicom.html#links
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se333639.html


●約20万円
EXAvisionSX
 上記は開発元のサイトですが、現在、SXに関してサイト上にありません。
(株)ソフトテック
〒192-0911 八王子市打越町1348-1-201
TEL 0426-32-8001 FAX 0426-32-8002

●100万円以上
DXMM
 メダシス・ジャパン(株)
〒206-0802 東京都稲城市東長沼 2120-6-101
TEL 042-370-6421 FAX 042-370-6422


 FREEソフトに関して全てを試してはいませんが、私が試した中では、CR本体からビューワーにデータを送るDICOM転送が可能であるソフトは見つかりませんでした。
 20万円のEXAは、現在、診療所用DICOMビューワーとして必要最小限の機能を備えていますが、データベースの機能がやや貧弱であり、データ量が多くなると、運用に工夫が必要となります。DXMMは、値段なりにほぼ満足できる機能のようです。
 その他100万円以上のビューワーには
Panasonic
voxbase
などがあり、また上記CR本体のオプションとしてのビューワーは、全て100万円以上はするようです。



診療所のIT化
(1)電子カルテ
(3)電子カルテやデジタルX線写真データの保存に関する法的な問題


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