整形外科医の視点
診療所のIT化     
菅原整形外科 菅原秀樹 
 最近、町の開業医などの小規模な医療機関でも、電子カルテやデジタルX線写真を用いるようになりました。どちらも、より良い医療を行うことと医療の効率化の2つの目的をかなえる手段です。現在、社会的にも、少ない医療費でより良い医療を行うことが求められており、その要請に合致しているとも言えます。
 そこで、この2つの目的に適う電子カルテデジタルX線装置について、保存に関する法的な問題も含めてご説明致します

診療所のIT化
(1)電子カルテ
(2)デジタルX線装置
(3)電子カルテやデジタルX線写真データの保存に関する法的な問題
(1)電子カルテ

 もともと、カルテには、診療記録という意味と医師が思考するための道具としての意味があります。診療記録としてなら、単なるワープロでも良いのですが、それでは紙のカルテに比べると、大変使いにくいものになります。現在、電子カルテはリレーショナル・データベース(RDB)でできています。RDBというものは、バラバラのデータを、あるキーワードによって、そのつど寄せ集めて表示したり計算したりするものです。例えば、患者名、日付、所見、などで集めれば、その日のカルテができます。しかし、そのままではカルテとしては大変使いにくいものです。

 これまでの分厚い紙のカルテをぱらぱらめくると、思いもよらない「つながり」を見つけることがありました。医師の役割は、そのキーワード「つながり」を見つけ出すことです。初めから、そのキーワードが判っていれば、医師は要らないわけです。良くない電子カルテは、医師が電子カルテ上で思考できない、カルテを見ても患者さんの状態が把握できないとよく言われます。これが、電子カルテが使いにくいといわれる大きな原因であり、そのために普及が大変遅れました。

 有能なプログラマーが、高速で大量のデータを処理できる洗練されたRDBをつくると、肝心のユーザーの医師からは使いにくいという苦情が出ます。これはプログラマーと医師間での意志の疎通ができていないせいだと思われます。紙カルテの良さを残したプログラムを考えるならば、今は無駄の多いRDBにならざるを得ないのが現状でしょう。

 診療所の電子カルテシェア
  現在、診療所で電子カルテがどれだけ使われているかという正確な数字はわかりません。医療系の雑誌でアンケートを行った結果などがありますが、アンケートの方法が各電子カルテメーカーで異なっている為、正確な数字とは言えないのが現状のようです。(参考資料をご覧ください

 代表的電子カルテの紹介
★ダイナミクス
http://www.iijnet.or.jp/hist/dyna/index.html

長所
 電子カルテ、レセコンとしての機能をすべて備えていて安価(初年度28万円、翌年より13万円/年)。医師自ら開発したため、使い勝手が良い。

短所
 全くの業者任せでは運用できない。医師自ら、PCやソフトの知識を知ろうとする努力が必要である。

長所の説明
 もともと内科医(吉原正彦先生)が自分が使いやすいように開発したもので、整形外科には不向きと言われていましたが、最近は、開発やサポートに複数のプロが関わっており、またメーリングリストなどを通じて、ボランティア的なサポート、バグフィックス、さらには、周辺プログラムの開発、無償配布などが行われており、かなり整形外科でも使い易くなっています。

短所の説明
 汎用のwindowsパソコン上の、アクセスというRDBプログラムで動くもので、医師の自己責任で運用することを前提としています。どの程度の知識が必要かというと、メーリングリストで活発に討議できる程度というのが、ユーザー間のコンセンサスのようです。つまり、メーリングリストを使いこなせると言うことは、セキュリティー対策なども自分でできるレベルであろうし、データのバックアップやcdrの書き込みなども恐らくできるだろうということです。よく「skillがなくてもwillがあればよい」とユーザー間で言われておりますが、何か問題が起こったとき、メーリングリストで常識的に質問し、その回答に対して常識的な礼を言うことができる程度でしょうか。もちろんorcaのように、サポート業者を入れることは可能ですが、全く機械などさわりたくないといった希望の場合は、他のフルサポートを前提とした電子カルテの方が向いているようです。


★ダイナミクス公式メーリングリスト superdyn

高知県の船越先生が管理するメーリングリスト
入会規定に関しては下記を参照してください
http://www.morimori.or.jp/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=dyna-nyukai

★ダイナミクス連動、自賠責労災ソフト 大二郎 の説明

 これは、jcoaメンバーの岸本成人先生(大阪府)が開発したもので、ダイナユーザーに無償で公開されています。これを使うと、自賠責の明細書、診断書、労災の請求書が、マウスの数クリックで印刷されます(岸本先生自身はワンクリックを目指しています)。これも、ユーザー間でサポートしあっており、これからも進化し、扱い易くなっていくだろうと思います。

大二郎のFAQサイト
http://www.seikei.gr.jp/daijirou/pukiwiki.php


参考資料
診療所の電子カルテ・シェア月刊新医療2004年9月号のデータより)
電子カルテ名 メーカー 施設数
Mステーション BML 1053
Dynamics 日立ソフテック 444
HOPE/Dr’note 富士通 207
DRCORE/Plus 東芝メディカルシステムズ
システムズ
99
SimCLINIC/FRex/FUTURE 島津製作所 65
SUPERClinic ラボテック/アシーニ 62
e-Clinic ポテト 57
DRS 由井コンサルティング 54
Win Medical メディカルインフォメーション 38
診療支援ソフト 三栄メディシス 28
ユビキタス 電子カルテ セコム医療システム 23
CS-MI・RA・Is CSI 21
カルナート電子カルテ 三栄メディシス 19
i-Clinic 日立メディコ 16
RACCO電子カルテ システムロード 15
アーチャンレセプト アップルドクター 13
DMクリニカルステーション 明電舎 11
CIMAChart テクノプロジェクト 9
マインドトーク アガペ 8
M^Rec 日本ダイナシステム 4
NOA 2
MedicalTree アイオス 1
イージーカルテ メディカルインフォメーション 1
プロフェッショナルドクター ノーバメディコ 1
総合計 2251


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