新潟県臨床整形外科医会	Niigata Clinical Orthopaedic Association

サイトマップ

Home > Q&A > Q3.リウマチの治療薬

Q.3 リウマチの治療薬

質問

10年来のリウマチで、治療を受けています。

ずっと小康状態が続いていましたが、ここ半年前から、膝の腫れと痛みが強くなってまいりました。現在はリマチル3錠、オステラック2錠と胃薬を内服しております。

先月、主治医の先生から、メトトレキサートの服用を勧められましたが、元々は抗癌剤と聞くと今ひとつ踏み出せません。

そこで質問をお願いしたいと存じます。メトトレキサートや生物学的薬剤など、最近の新しいリウマチの治療について教えて下さい。(40歳代 女性)

回答

メトトレキサートや生物学的薬剤など、最近の新しいリウマチの治療についてのご質問ですが、それにお答えする前にまず

1.薬の呼び名

2.関節リウマチのお薬の種類

について説明し基本をご理解いただいてから

3.リウマトレックス、生物学的薬剤など、新しいリウマチの治療

についてご説明したいと思います。

1.薬の呼び名について
薬の呼び方には一般名と商品名があります。一般名が本名、商品名が芸名みたいなものです。一般名はお薬に一つですが、製薬メーカーが数種の商品名を付けて売り出します。病院や診療所で患者さんに説明する時に使う名前は商品名です。文中のリマチル、オステラックは商品名です。メトトレキサートは一般名で商品名はメトトレキセート(抗癌剤)とリウマトレックス(抗リウマチ剤)の2種類があります。主治医の先生がメトトレキサートとお話しになったのはリウマトレックスが発売になる前はメトトレキセートをリウマチ患者さんに使った時代が長くそして今はリウマトレックスになったので両方のを含めての意味でだと思います。以後は商品名で用いて書く事にいたします。
2.関節リウマチのお薬の種類
リウマチのお薬は大きく二つの種類に分かれます。抗炎症剤と抗リウマチ剤と呼ばれています。前者は鎮痛消炎剤とも言われ文字通り、痛みを取り腫れを引かせる薬です。飲んだその日に効きます。後者の抗リウマチ剤は飲んだり注射してもその日には効果が現れませんが、リウマチの原因である免疫の異常に対するお薬で、より本質的な治療です。効果出るまで何ヶ月かかかる事もあります。

抗炎症剤にはステロイド剤と非ステロイド抗炎症剤があります。前者は本来人間の体にある副腎皮質ホルモンを元にして開発されたお薬です。開発当初はリウマチの特効薬が出来たこれでリウマチが治ると考えられた程、効果が強い反面、長期に使うと副作用が強く、骨粗鬆症になったり感染に弱くなったりする副作用も多い薬です。また太りやすくなるのも下肢に障害のある患者さんには困った点です。効果が早く強力ですので、結婚式や旅行等イベント時や、抗リウマチ剤の効果が出るまでの間、短期間用いたりするのが理想です。非ステロイド抗炎症剤は沢山の種類があります。ステロイド剤と比べ効果は弱いのですが、副作用も弱いと言えます。しかし胃腸障害が多く、また薬との相性が悪いと腎障害、肝障害などが出る事もあります。リウマチの方は服薬が長期になりますので、定期的副作用チェックが大切です。オステラックはここに入ります。

抗リウマチ剤は通常の免疫力には影響しないで免疫異常を正常化する免疫調節剤と免疫を全体に押さえる免疫抑制剤があります。それらがどうして効くかについてはまだ不明な点が多く残っています。現在健康保険で使用が認められている調節剤は現在服用のリマチルなど7剤あります。抑制剤はお尋ねのリウマトレックス等4種類あります。リウマチは非ステロイド抗炎症剤と抗リウマチ剤の2種類を投与するのが普通です。そして必要に応じてステロイド剤が併用されます。

3.リウマトレックス、生物学的薬剤など、新しいリウマチの治療について
メトトレキセートは葉酸という細胞分裂するために不可欠な栄養素を細胞に取り込めなくすることによって癌を押さえる薬、抗癌剤として1963年に承認されました。そして癌患者さんに使う量に比べて極微量の1週間に1回2−3カプセルを12時間おきに飲むことで強力な抗リウマチ作用が得られる薬です。またこれまでの抗リウマチ剤に比べて効果が早く現れます。これからお紹介する薬は総て免疫抑制剤です。

80年代に米国でリウマチに使用されるようになり、88年にFDAよりリウマチ治療薬として認可されました。その前後から、日本でも難治の患者さんに用いられ、私が初めてリウマチ患者さんに処方したのも90年頃でした。そして99年に日本でもリウマトレックスの名前でリウマチに投与が正式に認められました。米国に遅れること11年は遅すぎるとの考えもありますがこの慎重さ誉められるべき事かもしれません。認可5年経った2004年4月までに本剤との因果関係が否定できない死亡が98名報告されています。認可が10年早ければ数字はもっと多かった可能性があります。現在より副作用対策が遅れていたはずですから・・・・。非常に効果がある薬ですが副作用も強い薬です。処方する医師だけでなく患者さん自身も薬の特性、副作用について良く知る必要があります。

次は“生物学製剤”についてです。難しい言葉をご存知ですね。新聞に高い注射だけどリウマチの特効薬が出来たような表現で載ったレミケードというお薬です。99年に米国で、03年7月に日本でリウマチに認可されました。一般の方にどんな薬か説明するのはなかなか難しいのですが、人間の免疫を抑える鼠の抗体と人間の抗体と合わせたお薬です。単独で投与するとレミケードの対する抗体ができるので、リウマトレックス3カプセル以上内服していることが投与の条件です。県内では新大、瀬波病院、長岡日赤など5病院限定で投与が受けられます。初回投与は入院して点滴を行う事が普通です。リウマトレックスで押さえられない高度なリウマチが対象と言うことになります。

http://www.riumachi21.info/patient/antibody.html#tit_02

に製薬会社からからの情報が載っていますのでご覧下さい。

もう一つ米国で99年に認可され日本でも03年9月に発売されたアラバという免疫抑制剤があります。リウマトレックスと似たお薬です。欧米の報告では効果は同等で間質性肺炎はまれ(0.02%)という事で副作用が少ないと期待されました。しかし発売後5ヶ月間で3470人に投与された時点で18例(0.52%)に間質性肺炎の悪化または発生がみられ6例が死亡しました。

http://www.aventis.co.jp/arava/aravad/

レミケード、アラバとも日本で使用されて1年未満ですので効果、副作用の優劣がこれから評価されることになります。両者とも使用経験がありませんので、これ以上のコメントは出来ません。この他にも開発中の生物学的製剤、免疫抑制剤がいくつかあります。今後に期待したいところです。

さて、ご質問では比較的弱い非ステロイド消炎剤のオステラックと免疫調整剤としては強めのリマチルを服用されていて効果が不十分になって来たとのことですね。その対策として“消炎剤を強い物にする、坐薬を加える”“ステロイドを加える”等の方法も考えられます。胃が弱い、糖尿病、肥満などこれらをしにくい状況があるので主治医の先生から抑制剤リウマトレックスを勧められたのでないでしょうか?お薬について良く説明を受けられていらっしゃるようですのでご存知と思いますが、間質性肺炎と血液障害が重い副作用の大部分です。これらの症状を理解し早期発見すれば、大事に至らならないうちに治療できます。この5年間で新潟県でもこれらの副作用の発生は報告されていますが死亡例はありません。正しい服用が必要なことは言うまでもありませんが副作用に対する素早い対処が重要です。どうも副作用中心の記載になり、薬を飲むのが怖くなりそうですが、“リウマチ治療の安心は薬の副作用を知ることから”とお考え下さい。(2004年7月16日)

【若槻整形外科(新潟市)若槻 秀夫】

ページの先頭へ戻るHOME

Copyright © 2004-2007 Niigata Clinical Orthopaedic Association. All Rights Reserved Without Images.