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Q2. 肩の腱板断裂

質問

5日前に転んで右手をついたところ、右肩に激痛が走りました。

同日、整形外科を受診し腱板断裂と診断を受け、シップと三角巾固定、痛み止めをもらいました。

けがをした当初は、肩が動かなかったのですが、現在は前のほうに50度くらいは挙げれるようになっています。

しかし、痛みが強く特に夜間は痛みのため目が醒めます。動きがよくならなければ、検査を行い手術が必要になると主治医に言われています。今後どうなるかどうなるのか不安です。どういう状態なのか今ひとつよく理解できません。よろしくお教えください。お願いいたします。(52歳会社員男)

回答

上腕骨(肘の上の骨)と肩甲骨で作られる肩関節の中には、上腕骨頭が肩関節の中でブラブラしないように肩甲骨に押しつける役割の4つの小さな筋肉(前方から肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)があります。これらの筋肉が上腕骨頭につく部分のスジ(腱)はそれぞれ境目が分からないように板状に付着しているために「腱の板」つまり「腱板」と呼ばれます。

腱板断裂は若い人ではまれで、五十肩世代つまり40歳以上で腱板の血液の流れが悪くなって炎症が起きやすくなったり(肩関節周囲炎=五十肩)、その結果若い人より腱が弱くなっていて転倒などをきっかけに腱板が断裂します。はっきりした外傷から始まることも多いですが、腱板断裂の半分近くの人は特別の外傷がなく発症します。

腱板断裂があるからといって、その方たち全員が手術を受けているわけではありません。腱板断裂による症状の多くは動作時痛(水平付近で何かの作業をしようとして痛みが走る)です。もし夜間痛が強いようならば腱板断裂による直接の痛みよりは、腱板断裂と関連のある腱板の慢性炎症(これが五十肩)による痛みと、その結果生じた関節拘縮(関節の動きが悪くなること)による痛みの可能性があります。それは五十肩の治療になりますが、内服や外用の消炎鎮痛剤、関節内注射、理学療法などにより安静時疼痛や夜間痛を取り除くことが可能です。この保存的治療法を数ヶ月程度しっかりおこなってもなお症状がとれないようならば、手術的治療法を考慮することになります。この辺の治療方針は担当医にご相談ください。

その場合まずおこなうことは断裂の有無と断裂の大きさの確認です。検査としてはMRIと関節造影があります。MRIは痛くない検査ですが、大きな断裂はわかりますが小さな断裂はわかりずらい場合もありますし、五十肩の炎症による部分も断裂に見えることがあります。関節造影は針を刺して造影剤を関節内に入れて断裂部を通して造影剤が漏れるのをレントゲン写真で確認する検査です。小さな断裂でも確認でき、断裂部の大きさの確認ができ手術の難易度の手術前の評価ができます。

腱板断裂の手術は切れた腱を骨につなぐ手術と、切れてから時間が経っているために腱をつなぐことができず人工腱の使用も含め色々と工夫してどうにかつなぐ複雑な手術に別れます。前者でもアキレス腱断裂をつなぐ手術同様手術後のリハビリが重要で、ゴルフやテニスなどのスポーツで十分に使えるようになるまでには手術後4〜6カ月のリハビリが必要です。手術の結果は断裂部が小さく腱の縫合(腱を上腕骨頭の骨に繋ぎます)が十分にできたか、逆に断裂部が大きくてどうにかやっとつなげたかでリハビリ期間が変わります。あるいは直接つなぐことができず人工腱を使わざるを得なかったような場合は手術後の再断裂も含め話は簡単でなくなります。この辺を手術前に評価するためには関節造影が必要と思います。

しばらく保存的治療をおこなってもなお疼痛が軽快しなければ関節造影等の検査をおこない、手術の可能性について担当医の先生とよくご相談ください。

【回答者:有明台整形外科(新潟市)院長 小林 辰次】

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