整形外科と医業類似行為(整形外科類似行為)


 整骨院、接骨院、ほねつぎ、カイロ,整体、マッサージetc.皆さんの町にはこのよう看板が氾濫 していませんか?
 打撲や捻挫をしたり骨折や脱臼をしたとき、また急に腰が痛くなったり頚や肩が痛くなったと き、先ずどこへいって診てもらいますか? 皆さんはこれらの職業が整形外科とはどのように違う のか御存じでしょうか?
  先日もネットニュースのなかで「腰が痛いけれど接骨院に行っていいのか、整骨院がいいのか、 又整体がいいのかよくわからない」といった記事がありました。
たしかに私たち整形外科を訪れる患者さんに「今までどこで治療をしていましか?」と質問しま すと、他科の医療機関(外科、内科等)で初期治療を受けた人よりも、接骨院や整体等で治療を受 けていたという患者さんが非常に多いのに驚きます。もちろんこうした治療院が身近にたくさんあ り手軽に診てもらえるということもあるのでしょうが、各々の業種がなにを専門とし、どんな病気 を取り扱うかといった法律上定められていることが一般によく知られていないことも原因ではない でしょうか。
そこでこれらの業種がそれぞれどのように違うのか、なるべくわかりやすく説明してみたいと思い ます。

1.医業医師の行う医療行為のみにつかわれます。

整形外科の扱う疾患
 整形外科の扱う疾患は非常に幅広く,まとめると以下のように分けられます。
a)外傷    :骨折、脱臼、打撲、捻挫、切断肢再接着、等
b)先天性疾患 :斜頚、股関節脱臼、内反足、等<
c)変性疾患  :変形性関節症、等
d)脊椎疾患  :腰椎椎間板ヘルニア、頚椎症、側弯症、等
e)自己免疫疾患:リウマチ、等
f)代謝性疾患 :骨粗鬆症、痛風、等
簡単にいえば、四肢、脊椎のあらゆる病気、外傷の専門、といってしまえばいいのでしょうか。

2.法で認められた医業類似行為
法で認められた医業類似行為には次のようなものがあります。
1.按摩マッサージ指圧師
2.はり師
3.きゅう師
4.柔道整復師
以上が法で認められた医業類似行為のすべてです。

3.法に基づかない医業類似行為
1.カイロプラクティック
2.整体、骨盤矯正、
3.気功
その他色々な種類があります。独自の団体免許をだしている所もありますが、法で認められた ものではありません。

これらの医業類似行為について、簡単に説明します。

★按摩マッサージ指圧師
適応:主に腰痛、肩こり等の慢性疾患ですが次のような場合に限り医師の同意があれば「療養費 払い」というかたちで健康保険を使うことができます。
 医師の同意があれば療養費払いとなる疾患:筋麻痺、関節拘縮で医療上必要なもの

★はり、きゅう師
 適応:あんまマッサージ指圧師の場合と同様、おもに腰痛、肩こり等の慢性疾患ですが次のよ うな場合、「療養費払い」が認められています。
1.医師による適当な治療手段のない慢性病であって「はり」または「きゅう」の施療について、 保険医の同意を得た次のような疾患に限る。
神経痛、リウマチ及びこれらの疾病と同一範ちゅうと認められる類似疾患

(注)類似疾患とは頚腕症候群、五十肩及び腰痛症等の病名であって、慢性的な疼痛を主症とす る疾患をいう。
2.現に保険医療機関に受療中の疾病に対する施術は認められない。
◎療養費払い:療術を受けたものが施術者に対し、その費用を支払い、その施術証明書を持って 保険者のところへ行き、支払った額の給付を受ける。


★柔道整復師(柔整師)
整骨、接骨、ほねつぎは皆同じ意味です。
適応:打撲、捻挫、脱臼、骨折です。

 脱臼、骨折については医師の診察を受けるまで放置すれ ば生命又は身体に重大な危害をきたす恐れのある止むを得ない応急の場合を除き、医師の同意が必要となっています。しかし応急処置が済んだら整形外科の専門医へ送り、診察した医師が、その後の経過を柔整師がみてもよいという同意を与えた場合のみ、取り扱うことができます。
 老人の骨粗鬆症、膝や腰の変形症、リウマチなどの内因性の慢性疾患は適応外です。
 もちろんレントゲンを撮ったり、ギブスを巻いたり、薬を出したり、注射をしたりすることは できません。

『柔整師の療養費払いについて』
 柔整師の施術に要した費用の支払いは、一般の保険医療機関での支払いと一見同じようですが 実はその仕組は大きく異なります。
 柔整師への患者の支払いは、はり、灸師等と同様に「療養費払い」といい、患者が療養に要し た費用を施術者に先ず支払い、保険者等にその支払った額を請求し、保険者がその内容を審査の上、患者に支払うのが原則です。しかし、柔整師の施術に係わる療養費の支給については、都道府県知事等と柔整師の団体との間の協定に基づき、患者が療養 費の受領を柔整師に委任することが認められています。此れを『受領委任払い』といいます。

  すなわち、柔整師が施術を行った場合、柔整師は、施術料金のうち、患者負担分については患者 に請求し、残りの施術料金については、患者からの受領委任に基づいて、柔道整復施術療養費支 給申請書により各保険者等に対して請求することになっています。受領委任は、請求金額が記載 された申請書に、患者の自筆で住所、氏名等を記入し、押印して行うこととされています。

「法に基づかない医療類似行為」
 カイロプラクティックが最も一般的と思われるので、カイロについて述べておきます。

★カイロプラクティック(カイロ)
 日本では法的に認められておらず、従って施術者のレベルもまちまちであり、医学的効果につい ても科学的評価はいまだ定まっていません。
 同療法による事故を未然に防止するために下記の4項目の厚生省通達がなされています。(平成3 年6月28日 医事第58号)

1.禁忌対象疾患の認識
「カイロ」療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾 患、リウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を 悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭 窄症、骨粗鬆症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側弯症、二分脊椎症、脊椎すべり症などなど明確な 診断がなされているものについては、本療法の.対象とすることは適当ではない。

2.一部の危険な手技の禁止
 頚椎に対して急激な回転進展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大き いため、こうした危険の高い行為は禁止する。

3.適切な医療受療の遅延防止長期間あるいは頻回の「カイロ」療法によっても症状が憎悪する場  合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、施術を中止して、速やかに医療機関  で精査を受けること。

4.誇大広告の規制
 カイロ療法に関して行われている誇大広告、とりわけ、がんの治療等医学的有効性をうたった広告  については、法に基づく規制の対象になる。

                  (JCOA医療システム委員会)