患者さんの受療行動の分析


それなりに医療機関の使い分けをしているが、まだまだかかりつけ医の使い方が不十分である。

厚生省の平成8年受療行動調査の概況(基本集計分)


1 患者の状況
(1)平均年齢・年齢別推計患者数
○ 患者の平均年齢は小病院になるほど高く、入院において特に高い
 年齢別の患者数を病院の規模別にみると、入院では大病院が60歳代前半で最も多く、中病院では70歳代後半、小病院では80歳代前半で最も多くなっている。外来では大病院、中病院、小病院とも、60歳代前半で患者数が最も多くなっている。
(2)患者の日常生活の状況
○ 「歩行不能」は入院患者の2割
○ 入院患者の「歩行」、「階段昇降」、「買い物」については、大病院になるほど日常生活に支障のない者の割合が多い
 患者の歩行についての状況を入院外来別にみると、入院では「一人で歩ける」が53.3%、「歩行不能」が20.4%、外来では「一人で歩ける」が76.9%、「歩行不能」が1.5%であり、外来の方が日常生活に支障のない者の割合が多くなっている。

2 医療機関選択理由・受診目的の状況
(1)医療機関選択理由(複数回答)
○ 入院・外来ともに病院の規模を問わず「自宅等に近いから」、「前に来たことがあるから」、「医師等が親切だから」の割合が多い
○ 大病院では入院・外来とも「病院・診療所等からの紹介があったから」、「名医・専門医がいるから」、「医療設備がよいから」、「診療科目が多いから」の割合が多い

 (1)入 院
○ 「病院・診療所等からの紹介があったから」は大病院で多い
 総数では「前に来たことがあるから」32.7%、「病院・診療所等からの紹介があったから」29.4%、「医師等が親切だから」27.3%、「自宅等に近いから」27.0%の割合が多くなっている。
 大病院では「病院・診療所等からの紹介があったから」38.5%が多く、「医療設備がよいから」32.0%、「名医・専門医がいるから」30.1%、「診療科目が多いから」18.7%となっている。
 中病院及び小病院では「前に来たことがあるから」、「自宅等に近いから」のほか「医師等が親切だから」、「かかりつけの医師がいるから」が多くなっている。

 (2)外 来
○ 「医師等が親切だから」、「かかりつけの医師がいるから」は小病院で割合が多い
 総数では、「自宅等に近いから」40.5%、「前に来たことがあるから」39.1%、かかりつけの医師がいるから」31.0%、「医師等が親切だから」29.7%が多くなっている。
 大病院では「医療設備がよいから」37.8%、「名医・専門医がいるから」32.3%、「診療科目が多いから」26.7%、「病院・診療所等からの紹介があったから」26.0%が多い。
 中病院及び小病院ではともに「自宅等に近いから」、「前に来たことがあるから」が多くなっている。小病院では「医師等が親切だから」38.4%、かかりつけの医師がいるから」34.8%の割合も多くなっている。また、「待ち時間が短いから」の割合も多くなっている。(図5・統計表)

(2)外来患者の受診目的
 (1)病院の規模別
○ 「診察を受けるため」は病院の規模が大きいほど割合が多い
○ 「リハビリのため」は病院の規模が小さいほど多い
「診察を受けるため」を主な目的としているものの割合は大病院が50.9%、中病院が46.7%、小病院が41.8%と大病院になるほど多くなっており、「検査を受けたり検査結果を聞くため」も同様の傾向を示している。
 「リハビリのため」の割合は大病院が2.7%、中病院8.6%、小病院14.0%と小病院になるほど多くなっており、「注射や処置のため」も同様の傾向を示している。
 「診察を受けるため」は「0〜14歳」の年齢階級で割合が多い
○ 「リハビリのため」は年齢階級が上がるほど多い  「診察を受けるため」の割合は「0〜14歳」が64.9%で最も多く、40歳以上では4割程度となっている。
 「リハビリのため」は「0〜14歳」10.0%で最も少なく、年齢階級が上がるほど多くなっている。

3 通院時間・通院経費の状況
(1)通院時間(片道)
○ 「30分未満」は7割
○ 病院の規模が大きいほど、通院時間が長い者の割合が多い
 「15分未満」は36.2%、「15分〜30分未満」は30.5%で、7割程度が30分未満の通院時間となっている。
 小病院では「15分未満」が46.9%と最も多く、次いで「15分〜30分未満」が27.0%となっており、大病院では、「15分〜30分未満」が30.6%で最も多く、次いで「30分〜1時間未満」が25.7%となっている。
(2)通院経費(片道)
○ 小病院では交通費のかからない者の割合が多い
 「0円」は小病院が34.5%と最も多く、中病院28.2%、大病院14.6%と、大病院になるほど少なくなっている。 又、「自家用車利用」の割合は、大中小病院とも3割程度となっている。

4 待ち時間・診察時間の状況
(1)待ち時間(診察前)
○ 外来患者の6割が「1時間未満」の待ち時間
○ 大病院になるほど待ち時間は長い傾向
 外来患者の診察前の待ち時間が「30分未満」は37.7%、「30分〜1時間未満」が21.2%となっている。「30分未満」では小病院が54.9%、中病院34.9%、大病院27.4%となっており、病院の規模が大きくなるほど少なくなっている。1時間以上の者の割合は大病院で多くなっている。
(2)外来患者の診察時間
○ 外来患者の医師による診察時間「3分〜10分未満」が43.0%、「3分未満」は17.8%
 外来患者の医師による診察時間は「3分〜10分未満」が43.0%で、大病院46.6%、中病院43.0%、小病院39.0%となっている。
 「3分未満」では17.8%で、中病院が17.9%、小病院17.8%、大病院17.5%となっている。
(3)待ち時間と診察時間
○ 「30分未満」待って「3分〜10分未満」の診察の割合が多い
○ 待ち時間が「3時間以上」で診察時間が「3分未満」の割合は0.7%
 待ち時間と診察時間の関係をみると、待ち時間が「30分未満」で、診察時間が「3分〜10分未満」である割合が20.5%で最も多くなっている。
 大病院では待ち時間が「30分〜1時間未満」で診察時間が「3分〜10分未満」が16.2%、中病院では「30分未満」で診察時間が「3分〜10分未満」が19.5%、小病院でも「30分未満」で診察時間が「3分〜10分未満」が28.5%と多くなっている。
 待ち時間が「3時間以上」で診察時間が「3分未満」の割合は総数で0.7%、大病院においては1.1%である。(表2)

5 説明の有無・説明内容等
(1)説明の有無
○ 説明を受けた者は8割、説明を受けなかった者は1割未満
○ 「詳しい説明を受けた」者の割合は、大病院の入院で多い
 今回の病気について「詳しい説明を受けた」者は入院では49.4%、外来では42.9%、「簡単な説明を受けた」は入院で34.8%、外来で36.9%となっている。「詳しい説明を受けた」者は大病院の入院で57.3%と多くなっている。
(2)説明を受けた内容(複数回答)
○ 「病状または病名」は入院で8割、外来で7割
 「病状または病名」について説明を受けている者の割合は入院77.6%、外来70.2%でともに多くなっている。
 「治療期間」および「治療費用」については、入院において説明を受けている割合が外来の約2倍となっている。
 「薬の効果及び副作用」については入院・外来とも大病院で、総数に比べ多くなっている。
(3)説明書の有無
○ 「説明書をもらった」者は入院で25.1%、外来で16.0%
 説明を受けた者のうち「説明書をもらった」のは、入院では25.1%、外来では16.0%で、大病院の入院で29.7%と多くなっている。
(4)説明の理解度
○ 説明の内容がわかった者は8割
 説明を受けた者のうち説明の内容が「よくわかった」のは入院では36.6%、外来では40.5%となっており「大体わかった」を合わせると、説明の内容がわかったものは入院・外来ともに8割をこえている。(図14)

6 満足度の状況
○ 外来よりも入院の方が「満足」している割合がやや多い
 (注)「満足」:「非常に満足」および「やや満足」を合わせたもの
    「不満」:「非常に不満」および「やや不満」を合わせたもの
(1)入院患者の満足度
○ 「病院に対する全体的な満足度」は「満足」52.4%、「普通」は25.2%、「不満」は5.9%
 「満足」している者の割合は「看護婦等への質問や相談のしやすさ」が57.8%で最も多く、次いで「医師への質問や相談のしやすさ」51.6%、「受けている診療内容」50.6%となっている。  「不満」である者の割合は「食事の内容」が18.2%で最も多く、次いで「食堂や談話室の快適さ」12.2%、「ろうかや病室の広さ」11.6%となっている。
○ 「病院に対する全体的な満足度」は「満足」は46.2%、「普通」は32.0%、「不満」は5.7% 満足している者の割合は「医師への質問や相談のしやすさ」が50.1%で最も多く、次いで「看護婦等への質問や相談のしやすさ」48.2%、「診療室・待合室・トイレなどの清潔さ」45.9%となっている。
 「不満」である者の割合は「待ち時間」が30.0%で最も多く、次いで「交通の便や駐車場の広さ」23.3%、「診療日、診療時間帯」14.0%となっている。
3)全体的満足度
 (1)病院の規模別
○ 小病院では、入院・外来ともに「満足」の割合が多い
 「病院に対する全体的な満足度」を規模別にみると、入院では「満足」している者の割合は、大病院が55.3%、小病院53.5%、中病院50.9%となっている。外来では、小病院52.1%、大病院47.3%、中病院43.6%となっている。「不満」は入院・外来とも小病院が低くなっている。
 (2)医療機関開設者別
○ 小病院では、入院・外来ともに「満足」の割合が多い
 「病院に対する全体的な満足度」を開設者別にみると、入院の「満足」は、公的病院が53.5%、個人病院が50.3%、医療法人49.9%となっている。
 外来では、個人病院が51.3%、医療法人46.6%、公的病院43.3%となっている。
 (3)年齢階級別
○ 「病院に対する全体的な満足度」は高年齢層で多い
 「病院に対する全体的な満足度」を年齢階級別にみると、入院では「満足」している者の割合は「65〜74歳」が55.2%、「75歳以上」54.4%と高い年齢層で多く、「不満」は「0〜14歳」10.8%、「15〜39歳」10.7%と、低い年齢層で多い。  外来でも、同様の傾向となっている。
(4)外来患者の待ち時間の負担感
 診察前の待ち時間が「30分未満」では「満足(負担が小さい)」している者の割合は40.2%、「不満(負担が大きい)」が17.9%、「3時間以上」では「満足(負担が小さい)」7.8%、「不満(負担が大きい)」56.7%となっており、待ち時間が長くなるほどその負担感は大きくなっている。